「京都議定書第一回締結会議」が開催された環境先進国カナダでベストセラーになったのを皮切りに、アメリカ、イギリスでも出版の運びになったという異色ノンフィクションです。
孤高の天才画家ゴーギャンは、自然がありのままの姿を残す憧れの南国で、巨大な傑作「われわれはどこから来たのか? われわれは何者か? われわれはどこへ行くのか?」を描きました。本書はこの最初の二つの問いの答えを探りながら、最後の問いの答えを見つけようとする試みです。
人類は、人類として地球上に一歩踏み出したときから、進歩するだけの一方通行の道を信じて歩んできました。そして文明は絶対に後戻りすることはないのだと、思い込んできました。しかし、じつはイースター島、古代マヤをはじめ「進歩の罠」にはまった文明が、これまでいくつも滅亡してきたことを私たちは見て見ないふりをしてきただけなのだと著者は言います。今、現代文明の高速船は、巨大ながら世界にたった一隻の船となり、その船の沈没は人類の滅亡を意味するということをきちんと考えなければならないときにきています。
ぜひ心新たに読んでいただきたい作品です。