「ビトルスさんの農園で、ヒヨコが100羽うまれました。99匹は黄色いヒヨコ。でも、1羽だけはコーヒーみたいにまっくろでした」という書き出しで始まる絵本。
みんなは黄色いのに、どうして僕だけまっくろなんだろう? と、考えたまっくろヒヨコが、本当のパパとママを探しに行くことにするのだが…。
1匹だけ色の違うヒヨコという始まりがレオ・レオニの『スイミー』を彷彿(ほうふつ)とさせるが、その終わりはというと、まったくもって逆である。
黒いイヌや黒いネコ、黒いブタ、黒ヤギ、黒カモに聞いてみても「本当のパパやママじゃない」と言われたまっくろヒヨコが森へ向かうと、そこにはふたつの黒い影。
「パパとママだ!」とまっくろヒヨコが走り出す。
しかし、そこに待っているのはグリム童話でもお馴染みの、あの動物。
イラストのかわいらしさと、ストーリーの残酷さのアンバランスが不思議な魅力の1冊。
このブラックな絵本はまさに「フランス発、大のオトナが読む絵本」である。(小山由絵)
内容(「BOOK」データベースより)
いっつもハッピーエンドなんて、おとぎ話じゃあるまいし。フランス発、大のオトナが読む絵本。