インゼル叢書/もじゃもじゃペーター/ドイツ1940年出版
18.4cm x 12.2cm
絵本好きの方であれば定番の作品のもじゃもじゃペーターですが、日本ではあまり幅広く読まれている作品ではないことは少し残念な気もします。
この作品は、作者のハインリッヒ・ホフマン(精神科医)の三歳の息子のクリスマスプレゼントのために作られた物語でした。物語と言っても躾が目的であるため、教訓的且つおぞましさ(エドワード・ゴーリーの作品のような)もあり、ナンセンスと捉える大人の読者も多かったようですが、反して多くの子どもたちからは恐いもの見たさで大反響を受けました。
ある指しゃぶりの癖が治らない子にこの作品の読み聞かせしところ、すぐにその指しゃぶりの癖が治ってしまったといいますから、ホフマンの三歳の息子のその年のクリスマスは、どんな聖夜を過ごしたのかは想像に難くありません。
現在までに100以上の言語に翻訳され160年間も読み継がれている理由は・・・小さな読者に聞いてみるとすぐに答えが返ってくることでしょう。
今回は1940年インゼル叢書版のご紹介です。
インゼル叢書ならではの美しい挿絵がとても魅力的です。
1912年にドイツのライプツィッヒで設立されたインゼル叢書(insel-bücherei)は、古典作品と近代の作家のコラボレーションをするなど、芸術や文学の価値をドイツ国内に広く伝えることを目的としていました。