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Carrera 4S (997)

Product description

2004年夏発売。996をベースに大幅が改良が施されたモデル。シャシーなどは同一であるが、外観は大きく996から変更された[1]。996型の部品から80%以上を刷新したとも言われているが、ボディの基本骨格や一部のボディパネル、ボアφ96mm×ストローク82.8mmの3,596ccエンジンや5速ティプトロニックなどは踏襲されている。

996型で不評だった涙滴型ヘッドライトが廃止となり、往年の丸型ヘッドライトが復活した。スモールランプ、ウインカーも空冷時代を彷彿とさせる別体型となり、さらに後部コンビネーションランプと前後バンパー部分のデザインも変更。ドアミラーは2本アームデザインに変更され、少なからずダウンフォースを発生させる[1]。内装のデザインも変更され質感が向上し、可変ギヤレシオのパワステが採用され[1]、911としては初のステアリングチルト機構も取り入れられた[1]。シートは4種類の形状が用意され、機能と目的によって選択することができた[1]。スペアタイヤは省略され、パンク修理キットでの対応となった。

シャシーの基本コンポーネンツは996を流用しているが、部分的に補強が施されシャシー自体は重くなった。従来からのスポット溶接に加え、樹脂系接着剤による接合も導入された[2]。シャシーの曲げ剛性は40%向上し[2]、曲げ剛性も8%向上しているが[1]、短距離の走行でも大幅にシャシー剛性が低下する事例もあり[1]、996ベースであることの限界も指摘された[1]。サスペンションアームは996と共通であるがジョイント部分が変更され[2]、細かい振動をシャシー側に伝えないよう工夫され[2]、シャシー側への取り付け位置も変更された[2]。前後のメンバーはダイカスト製から加圧形成ダイカストに変更され[2]、サイズもワイド化された[2]。これによってトレッド幅が前21mm後34mm広げられている[1]。ナックルの形状も変更されブレーキやベアリングの冷却に有利な中空の形状になった[2]。前部のラジエターを通過した空気は、車体下面への排出から前輪フェンダー内への排出に変更さ[2]れ、ボディー下面は樹脂製のパネルで覆われた[2]。これらの措置によって車体のCd値は996型の0.3から0.28に低下している(カレラSは0.29)。ボンネットはアルミ化され6kg軽量化された。その他にもリヤサブフレームで1kg、スペアタイヤと車載ジャッキ廃止で10kg、エンジン本体で2kgなどの地道な軽量化がなされ[1]、カレラでは996型と比較してトータル25kg軽量化された[1]。カレラSには19インチホイル、カレラには18インチホイルが装着された[1]。部品点数も大幅に減らされ合理化された。例えば996型ではドア1枚のアッセンブリーパーツは15個であったが、997型では5個となった[1]。

2008年6月にマイナーチェンジが行われ、NAモデルには新設計の直噴型エンジンが搭載され、PDK(ポルシェ・ドッペルクップルング)と呼ばれる7速のデュアルクラッチトランスミッションが選択ができるようになった(6MT比で+75万円)。従来のティプトロニックSは廃止された。新しい直噴DFIエンジンはクランクケースから完全に新設計され、996と997前期で使用されたM90/00系エンジンは登場からわずか11年で刷新されることになった[3]。直噴化によって12.5という高圧縮を達成し[3]、カレラは+20馬力の345馬力、カレラSは390馬力となった。エンジンの部品点数も削減され、重量も6kg軽量化された[3]。シリンダーブロックもクローズドデッキ化され剛性が上がった[3]。オイルサンプユニットを10mm薄くし、クランクシャフト軸を10mm下げたことにより、エンジン上部の高さが20mm低くなり低重心化された[3]。新エンジンの冷却効率が高い(ウオーターポンプの20%容量増加による[3])ことよりフロントバンパー中央のラジエターが撤去された(バンパー穴はそのまま)[1]。エキマニも20年ぶりに等長タイプに戻され、996型で2分割されていた触媒もエキマニ直後で1体化された。吸気系では円筒形のエアフィルターを採用し、フィルター面積を拡大した。これによってエアフィルターの交換サイクルは6万kmから9万kmに伸びた[3]。また2009年施行のユーロ5排ガス規制をクリアし、10%のエタノール添加ガソリンにも対応した[3]。オイルポンプはクランクシャフトからチェーンで駆動されるが電子的に吐出量を加減できるタイプとなりオイル消費量が減った[3]。メインのオイルポンプの他に、ヘッドからオイルを吸いだすサクションポンプが4台設置された[3]。層状燃焼は燃費の点では有利だが、煤が多く排気ガスがクリーンでないという問題があり、997型のエンジンでは層状燃焼をさせない設定になっており、気化熱で燃焼室の温度を下げ、積極的に出力を狙う設定が成されている[3]。ポート噴射は併用されておらず、燃焼室の高圧インジェクターをマルチ噴射させることで対応している[3]。スモールランプ、ウインカーは2段のLEDのバータイプとなり、テールランプもLEDとなった。ホイールデザインも変更[1]。ドアミラーも大型化された[1]。PDKモデルのシフトはシフトレバーを手前に引くとシフトダウン、奥に押すとシフトアップとされ、操作の違和感を指摘する声が多かった[1]。ハンドルに配置されたボタンでもシフト操作ができたが、ティプトロニックSのボタンをそのまま流用したために、こちらも操作性が悪かった[1]。PDKは水冷式でエンジン冷却水で冷却された。MTモデルより30kg重いが、従来のティプトロより10kg軽量であった[3]。変速スピードはティプトロの1.6倍のスピードで、スポーツクロノパッケージを選択してスポーツモードにするとティプトロの2倍の変速スピードとなった[3]。

オプションとしては、新たに開発されたPASM、スポーツクロノパッケージなど豊富なバリエーションであった。PASMは可変減衰ダンパーで走行中に電子制御でダンパーの減衰力が変更されるものでビルシュタイン社と共同開発された[1]。カレラに装着すると、ニュルブルクリンクで6秒のタイム短縮の効果があった(カレラSには標準装着)[2]。またPASMによってサーキットのタイムを短縮するのみならず、街中での乗り心地も大きく改善された。以上の改良によって、996型と同一シャシーながらカレラSがSUGOサーキットにて996型の911ターボより速いタイムで安定して周回するなど[2]、大きな進歩を遂げた。特に前後方向のピッチングやリヤの安定性などに大きな改善が見られた[2]。オプションで装着される機械式LSDは日本製(GKNドライブランテクノロジー製カーボン多板クラッチ式)[1]。

2007年7月に10万台目の車輌がラインオフされ、歴代モデルの中で最も短期間に10万台の生産達成となった[4]。同年11月にはドイツの業界誌『Auto Zeitung(アウト・ツァイトング)』の「Auto Trophy」で「Best Sports Automobile」および「Best Cabriolet over 30,000 Euro」部門でそれぞれ首位を獲得し、翌2008年1月にはドイツの自動車雑誌『auto, motor und sport(アウトモートアウントシュポルト)』でカブリオレ部門の「Best Automobile in the World」を受賞[5]。
エンジン・トランスミッション

カレラのエンジンはクランクの捩れ吸収ダンパーがアルミ製になった程度の微細な変更で、996型カレラのエンジンがほぼそのまま搭載された(前期型)[3]。出力も5馬力増の325馬力であった[1]。カレラSのエンジンはカレラをベースに3mmのボアアップがなされ、排気量は3.8Lとなり2段階切り替え式のレゾナンスチャンバーの設置もあり出力は355馬力となった[1]。トランスミッションは、6速MTと5速ティプトロニックSAT(後期型では7速PDK)が用意された。6速マニュアルトランスミッションはアイシン製が採用され、ギヤのシンクロリングが996型の真鍮製からスチール製に変更され[1]、1-2速がトリプルコーン(996ではダブルコーン)、3速がダブルコーン(996ではシングル)となった。シフトもショートシフト化され、支点やリンクケーブルの変更など細かい改善がなされている[1]。スポーツシャシーオプションを選択すると、スプリングとスタビライザーが硬いものに変更され車高も2cmダウンする。
ブレーキ

カレラSには、996型ターボのブレーキがそのまま移植された(前後330mmのブレーキディスク)。カレラには前318mm、後299mmのブレーキディスクが装備された。997型ターボとGT3(前期)には前後350mmのブレーキディスクが採用され、フロント側には6ポットキャリパーを装備し、パット面積は42%増加した。全車にオプション設定されたPCCB(セラミックコンポジットカーボンブレーキ)の場合、ローター径は380mmとなり、4輪で17kgのバネ下重量の削減になった[1]。

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